嵐の去った朝、黒白のハチワレ猫は、草原の崖の先に腰を下ろしていた。
眼下には荒々しく揺れる波と、どこまでも広がる海の風景。
その胸の内には、まるで波と空が語り合うような静かな感情が湧き上がる。
「この海の向こうには何があるのだろう?」と、ハチワレは問いかける。
潮風が耳元を撫で、答えるように「遠い昔から多くの旅人が同じことを考えたんだ」と囁いた。
ハチワレはふと、遠く水平線を見つめた。
足元の草が風に揺れ、まるで「行ってみなよ」と背中を押すかのようだった。
彼にはまだ行くあてもないが、心には小さな冒険心が芽生えていた。
「海の歌が聞こえる。ここを越えたら新しい景色を見つけられるんだろうか。」
そう思いながら、その場を離れることなく、ただその時を味わっていた。
きっと、未来の一歩を踏み出すために必要な風が吹くのを待っているのだろう。