秋の深まるある日、旅人が迷い込んだのは、木々が絡み合う奇妙な森だった。
霧が立ち込め、辺りは静寂に包まれている。
そんな中、突然目の前に現れたのは一匹の三毛猫。
「ようこそ、この森へ!」と言わんばかりに、猫はにっこりと微笑む。
旅人は驚きながらも、その瞳に不思議な安心感を覚えた。
猫が動くたびに森の中の風が少しずつ変わり、何かが語りかけてくるようだ。
しかし、この森にはひとつだけルールがある。
猫の後をついていけば、出口へ導かれるかもしれないが、それは猫の気まぐれ次第。
時には森のさらに深い場所へ誘うことも。
「この先に何があるのか?」
旅人の問いに、猫は何も答えず、しっぽをふりながら森の奥へと歩いていった。
追うべきか、留まるべきか——その選択は、森に迷い込んだ者に委ねられていた。